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房総の素掘りトンネル群探訪

房総半島の南部 上総地域には素掘りトンネルがたくさんあります。それも無数といってよいほど。
その筋の人たちにとっては垂涎のまと、メッカといってよいくらいの穴場なのをご存知でしょうか。

最初にこの種のトンネルに気づいたのは、このトンネル、通称灯篭坂太師隧道です。
内房線竹岡駅の近く、西房総街道の旧道にあるトンネルですが、たぶん最初の隧道からだんだん掘り下げられてこのような縦長のトンネルになったものと思われます。現在の房総国道はここを通っていないし、ここに通じる道も1本しかなく他とつながっていない盲腸線なので普通は気づきません。旧国道をたどっているとこれ以外にもこのような古いトンネルにしばしば遭遇します。

現在は国道127号線になっている房総国道は基本的には東京湾の海沿いを走っています。
富津以南では、山が海岸線に直接落ち込んでいる地形なので、特に旧道はこれらの山襞をトンネルで抜けている場合が多いのです。
このような主要道でない道にもたくさんのトンネルが存在しますが、これらはより小さくて素掘り(=手掘り)らしさが感じられます。まずは典型的な一例。小湊鉄道の月崎駅近くにある永昌寺トンネルです。

将棋の駒のような断面を持ち、幅は小型車がやっと通れるくらい。奥に出口が小さく見えていますが、トンネルの長さは142mだとか。
この断面形状はこの地域の素掘りトンネルによくみられる形で観音掘りというそうです。手彫りで普通のトンネルのようなきれいなアーチはできないのでこの形が掘りやすいのでしょう。

最近有名な農溝の滝も素掘りトンネルの一つです。もっともこちらは人が通るトンネルではなくて、水を通す水路トンネルですが。水路トンネルも合わせると房総半島の素掘りトンネルは数百あるといわれています。

このようにトンネルが多いのは、房総半島の地質・地形と大きく関連する特徴です。
房総丘陵は、標高は高くない(千葉県内最高地点の愛宕山でも408.2m。県内の最高地点が全国一低い)のですが、面積は広大で、そこを川が侵食して、無数の深く複雑な谷地形を形成しています。
川は複雑に蛇行し、この谷に沿って奥地まで集落が形成されています。隣の集落に行くのに蛇行した谷に沿って行けばずいぶん遠回りになります。したがって尾根越の道ができるのですが、高くはないとはいってもそれなりに険しい道になります。そこで、尾根を貫くトンネルを、ということになります。
水路トンネルも、もともとは蛇行した川を直線にという治水的な発想よりもトンネルで水路をショートカットして残った蛇行部分を水田に転用するという、極めて実用的な狙いだったようです。
しかし、こういうトンネルをたくさん作れたのは、房総丘陵の地質がいわゆる砂岩で、柔らかくて掘りやすいためでしょう。実際にたくさんトンネルも見てくると、長さがほんの数mと短く、トンネルの上の土被りも極めて浅く、トンネルにする必要もなさそうな場所にトンネルを穿ったところもけっこうあります。こんなのは、トンネル掘りが極めて容易なのでできたことなのでしょう。

ということで、能書きは置いておいて、ユニークなトンネルの数々をご覧ください。

これは通称向山の2段トンネル。トンネルが縦に細長く、おまけにトンネルの途中に穴が開いている。
どうやら、最初に上部のトンネルができて、上の穴はその当時の出口。その後傾斜を緩めるためか、下部のトンネルを掘って、手前は2つのトンネルがつながって2本分の高さができた、ということのようです。
ほかにも縦長のトンネルは結構あります。トンネルの改良工事で縦に掘り下げたり、上部の崩落で縦長になったりと成因は様々なようですが。

そういう縦長のトンネルの一つ。これはどうも上部が崩落して縦長になったようです。
次の写真はこのトンネルの内部に入って振り返ったところです。

トンネルの壁が見事な層をなしていることがわかりますし、道が層に対して傾斜しているのが見て取れます。
これは地層が傾いているのではなくて、路面に傾斜があるのです。つまりトンネル内が急な坂道になっています。幅は軽自動車なら通れそうですが、路面も未舗装ですし、ここに進入するのは度胸がいるでしょう。

次は、土被りが小さく短いトンネルの例。ここは左側が川に落ち込む急な崖で、道を通すのにトンネルにしたのでしょうが、この短さだと掘割にしても大して違いはなさそうにも見えます。しかし、掘る土の量はだいぶ違うので、重機のない時代はこれが正解なんでしょう。

それでは、その他の素掘りトンネルアラカルト。

これは飯給(いたぶと読みます)と月崎の間にあるトンネルの一つ。元は将棋の駒のような観音掘りだったのでしょうが、崩落?のせいで多角形になったのでしょうか。

もう一つ観音掘りが良くわかるトンネルです。これも少し崩壊の影響が出ていますが。照明もあり、きちんと管理されている雰囲気です。

高さも低くて少々危険な感じもするトンネル。路面は未舗装で水たまりもあるし、中央部ではどういう状況かわからない。出口が見えているもののあまり足を踏み入れたくないですね。

こういう環境にトンネルがあるのです。これもうっすらと出口が見えますが林の中に無理やりトンネルを掘ったような雰囲気があります。こういうトンネルは房総丘陵の奥深く、細い林道の中にあることが多いので、アクセスはなかなか困難です。小型のRVあるいはオフロードを走れるバイクでないと近づけないかもしれません。
この種のトンネルは近接して連続していることも多いのです。

この写真は最初のトンネルの奥にもう一つのトンネルが口を開けています。山の中の雰囲気が良くわかります。

トンネルの中には内部で90度屈曲し、おまけに枝トンネルがあるものもあります。三島湖の北岸にあるトンネルですが、トンネルの先には人家や畑があり、自動車もありましたので、日常的にこのトンネルを車で通っているのでしょう。慣れれば平気なんでしょうか。

ちなみに枝トンネルの先は湖岸でこういう神社があります。秘境ですね。

もう一つ珍しいトンネルです。一見二つのトンネルが連続しているように見えますが、実はこれは一つのトンネルで、途中の天井が抜けているのです。どうしてこんな形になっているかわかりませんが、きっと途中で天井が崩落したんでしょうね。

やはり素掘りだと崩落の危険はあるのでしょう、このトンネルのように立ち入り禁止になっているトンネルもあります。地形図上ではこのトンネルの先にはまだいくつかのトンネルがあるはずなんですが、ここが唯一の入り口なので先はたどれません。

これは水路トンネルと立体交差している珍しい写真です。
真ん中下に水路トンネルの一部が見えます。この川も山を大きく迂回していたのでしょうが、このトンネルでショートカットしています。

房総半島の地質地形の話であれば、忘れてならないのはチバニアンでしょう。
人間の歴史のはるか以前、地磁気が逆転していた時代の地層が路頭に出ている、世界的に珍しいところのようですが、見た目にはただの川岸のがけです。

これまで紹介したトンネルの多くは房総丘陵の奥深くにあります。近くには鉄道ファンのお馴染みの小湊鉄道やJR久留里線がありますので併せてお楽しみください。
なお、今回紹介したトンネルの大部分ははっきりと名前がついていませんし、場所の紹介も難しいのですが、インターネットで“房総半島“、”素掘りトンネル“などで検索するとたくさんの記事が出てきます。
隠れた房総半島の魅力を訪ねてみてください。

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